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大学の権威が崩壊したという話。
2016年ハーバード大学の卒業式。学生生活の最後を迎え、明日からハーバード卒というブランドを背負って社会人として生きていく、高貴で気高い学生たちが式場に集まった。しかし、希望と期待にあふれた純粋な学生たちを震撼させる出来事がおこった。
”ここにいる全ての卒業生は人生失敗しているわ。だって世の中で大きく成功している人ほど、ここの大学を退学しているのだもの。卒業してしまった時点で失敗だわ”その言葉を発したのはハーバード大学の卒業生であり、ハリウッド女優として活躍するラシダ ジョーンズ氏である。その言葉はハーバードの歴史市場最高に尖った卒業生スピーチとなった。
前置きはさておき、筆者はカリフォルニア州大在学中に起業し、未だ休学中の者である。ここでは、筆者が米国の大学に行って感じた大学の権威そのものについて論じる。
・焼肉はおごられた方が美味しい
おごられた焼肉は、自腹で食べる焼肉より何倍も美味しいと感じたことはないだろうか。それは、自腹で払うときは、肉一枚一枚に本当に、その値段の価値があるのかを考えてしまうからだろう。学費に関してもそうである。実際に高校までの授業料を親から払ってもらっていた、私は1コマの授業の価値など、考えたこともなかった。特に幼稚園から高校まで全て私立に通わせてもらって、年間計算で塾を合わせると300万以上の授業料がかかっていただろう。しかし、筆者はそんなことも考えず、授業中、よく居眠りをしていた。
しかし、親の反対を押し切って、渡米し、大学の授業料を自己負担しなければいけない状況に陥った。授業料と家賃を含め、年間400万円。授業中に爆睡していた私が1分1分に本当に価値があるのかを、その時初めて考えた。また、より多くの知識をその授業から吸収しようと誠心誠意努力したものである。しかし、大学2年生になってようやく、私は気づいた。時間的コミットと授業料のコストを計算すると、大学で学ぶことは明らかに効率が悪いことに。
・人は人からしか成長しない
人は誰と付き合うかでおおよその人生が決まる。さらには、周りにいる5名が最も自分を成長させる重要な人物である。類は共を呼ぶという言い回しがあるが、共が類になると私は思う。同じ時間軸を共にすることで、思考やビジョンがシンクロしていくのだ。私は生まれつき読字障害があり、本を一切読まない。3行以上の文章を読むと4行目には他のことを考えてしまい、これまで読みきった本は一冊もない。しかし、思考や知見が浅いかというとそうは思わない。常に自分が尊敬する先輩経営者や共に働く会社のチームと絡み、彼らが実体験を通して培ったノウハウをあたかも自分のことのように吸収しているからである。人から得た知見を身にまとい、それを持って実践するということは、大学の図書館で書物を読み漁るよりも、実務経験がない教授の授業をとるよりも、遥かに効果的な学習スタイルである。
・優秀な学生ほど大学にいない案件
アメリカの大学では、優秀な学生ほど自ら事業を起こし創業する。次に優秀な人はベンチャー企業に即戦力としてインターン採用される。残りの余った人材が大手企業への就職を果たす。
日本も今後、そういった流れになるだろう。日本の新卒採用制度では学生の能力を見極められず、どれほどレベルに格差があったとしても、新卒者として、同じラインで社会人をスタートする。優秀な学生からすると、これまでサークルとバイトに明け暮れてきた学生と同じ土俵で扱われることはたまったものではないだろう。
大手企業に就職して、幹部候補を狙っている若者がいるかもしれないが、大手の幹部は内部ではなく、外部より採用されることが多い。以前、筆者は元Google Japanのに”どのようにして、Googleで社長の座に君臨できたのですか?”と極めて直感的な質問を投げたことがある。彼の返答はこうだ。”日本でグローバルに戦える経営者は50人もいない。だから、私に回ってきた。グローバルで戦える経営者になりなさい。そしたらいずれ回ってくるから”
たしかに考えてみれば、マクドナルドの社長がベネッセの社長になっていたり、Googleの役員がソフトバンクの社長になっている。優秀な人材が幹部に集まれば集まるほど、会社の株価は上がる。大手企業が役員を選ぶのに、最も必要なのは株主への理解である。本当に大手の幹部を取りに行きたいなら、新卒生として内部よりの登山するのは、あまりにも時間がかかりすぎるし、あまりにも到達確率が低すぎる。
*大手企業に就職したい!企業のネームバリューを持ってインスタ映えする生活を送りたい!という学生は大学を絶対的に卒業すべきである。なぜなら、大手企業はこれからも学歴採用を怠らないからである。
・大学はいつでも戻れるが、今この時間には誰も戻れない。
大学はいつでも卒業できる。それは、おじいちゃんおばあちゃんになってもだ。しかし、時代が革新する現在社会で、自分が発想した事業で成功することは今しかできない。なぜなら、自分たちと同じアイディアをもった者は世界に10000人以上いるからだ。実際にアイディアを形にしようと計画する者は1000人、実際に形にする者は100人、最後生き残るのが10名だと肌感覚ではあるが、私は考える。人生を歩む上で、本当に学位が必要になった時に、大学に戻ればいいだろう。
・残された人生はあまりにも短い
私たちが思っている以上に人生は短く、また残された人生はさらに短い。
平均寿命から考えて、人が生きられるのはせいぜい80歳。大学に入学した時点で約20歳だとすると、既に25%の人生が終了しており、残り3/4の人生しか残っていない。もちろん、もっと短い人生の人もいるだろう。
親や教師にうまいこと乗せられて、何の考えも躊躇もなく、大学へのエスカレーターで上がった方にこそ伝えたい。本当にやりたいことのために大学は必要かと。それを達成するために、大学の無駄な授業に余命を削っていいのかと。
・大学の権威が崩壊した
私がもし、1990年以前に生まれていたのであれば、間違いなく大学を卒業しただろう。むしろ大学院に進学していたかもしれない。なぜなら、当時は大学こそが研究分野を深められる環境であったからだ。しかし2018年の今は違う。
2018年のラスベガスで開催されたCES(世界最大規模のtech conference)でGoogleにも並ぶ、中国大手検索会社バイドゥーが米国のオンラインスクールであるUdacityと研究開発を行い、自動運転技術を2020年までに大衆化すると発表し、世界を震撼させた。特筆すべき点は、単なるオンラインスクール、しかも数年前には存在しなかったスタートアップの研究が大学の研究機関を超したとバイドゥーが認めたことである。
また、Udacityはnanodegreeとよばれる、短期集中型の実学のみを提供した授業を提供しており、同プログラムで単位を取得すると、学歴に関係せず、GoogleやAmazonよりオファーを手にすることができる。筆者も同授業に参加したが、中には、ハーバードやスタンフォード大学をドロップアウトして、nanodegreeを受講する生徒もいるほど、授業の質が高い。また同プログラムで教員はAmazon, Google社に現職するエンジニアであり、大学の教授とは実務経験値が遥かに異なる。専門的な研究をしたいなら、udacityにいけばいい。
・最後に
ここまで読んでいただいた読者様には、まず感謝の気持ちを伝えたい。本当にありがとうございました。
私は大学が嫌いなわけじゃない。むしろ大好きだ。
もし、お金と時間を無限に所有することができるならば、私は間違いなく大学に行くだろう。大学に行って、キャンパスで寝転がって、雲の数を数えたりして、世の中にとってどうでもいいことを気にしながら、毎日を過ごすだろう。また、サークルや飲み会に毎日毎晩明け暮れて、適当に彼女でも作って青春するだろう。
しかし、僕の人生はそんな長くないし、そんな資金があれば、事業と優秀なチームに投資する。そして、私が大好きで常にお互いを高めあえる仲間はそんな平和な学生生活の先には決していない。私はこれからも、大好きな仲間と成長し高め合い、社会をよりイケてる社会にし続ける。明るい明日を作るために、毎日を全力で生きようと思う。
最後の最後に、自分を常に高みへと誘ってくれる、人生の先輩と仲間たちへありがとうを伝えよう。
いつもありがとう。