創業2年で事業売却。藤崎 隆伸氏のAIを活用した
 これからのメディア戦略

ココリードCEO 藤崎 隆伸氏

1995年生まれ。鹿児島県出身。著書「経済的自立を達成しよう」はAmazonの「起業家」カテゴリーでランキング1位。

現在はオウンドメディア事業、デジタルコンテンツ販売などをはじめとした多岐に渡るビジネスを展開している。

また、そのノウハウを活かし実店舗経営で事業売却を達成した。

<文・hackjpn 金 二美香>

<写真・Toshiki Tachibana>

これまでに藤崎氏が手がけた4店舗のパーソナルジムは、開業からたった2年で事業売却を達成。

オウンドメディアのノウハウを実店舗に活用し、収益を完全に自動化する仕組みを4ヶ月で達成した
同氏の手腕は、業界の中でも稀有な存在である。

若干27歳で事業売却を達成したその背景には、どのようなメディア戦略が構築され、それをどう成功へと導いたのか。

今回はココリードCEO 藤﨑 隆伸氏を独占取材し、そのメディア戦略の秘密に迫る。

はじまりはコロナ禍のスポーツジム離れ

藤崎氏は大学生時代にテコンドーで全国1位となった経験をもつ。
学生時代からスポーツに勤しんできた経験をもとに、スポーツに関連した事業に関心を持ち始めた。

そんな当時はコロナ禍真っ只中。

フィットネスクラブ(スポーツジム)の倒産や廃業は、2020年度は過去10年で最多となり、コロナ禍で業績への打撃は深刻であった。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000296.000043465.html

そこで藤崎氏が着目したのは、密や接触を防げる形態として需要が高まっていたパーソナルジムだ。


同氏は、当時フィットネス業界で主要顧客となっていた「意識高い層」と、ジムに対して
「苦手意識を持つ層」との乖離が発生していることに気づいた。

近年ではパーソナルジムで有名なRIZAPが、セルフのフィットネスジム事業chocoZAPを開始し、

初心者向けのターゲットで楽に続けられるプログラムが人気となっている。


藤崎氏はこうしてフィットネス業界の主要ターゲットであった「意識高い層」の逆転の発想として、
ハードルを低く抑え、通いやすさと長続きを実現させたパーソナルジムを開業した。

メディア会社としての知見を活かしたSEO戦略


藤崎氏は若干20歳でメディア会社を設立。

これまでにオウンドメディア事業、デジタルコンテンツ販売などをはじめとした多岐に渡るビジネスを展開してきた。

特にオウンドメディア事業ではリストマーケティングやSEOを効果的に活用し、集客の自動化、
そして収益の自動化を構築していた。

そこで同氏は、長年メディア事業を通して培ったそれらの知見を実店舗経営の戦略にも活かしていく。藤崎氏はジム開業後4ヶ月で損益分岐点を突破し、完全自動化して収益が入る仕組みを構築した。


その鍵を握るのは広告の安定性にある。

まず広告戦略としてオフラインのチラシ配りとオンライン広告を活用。オンライン広告では、体験予約できるランディングページを作成し、そこに被リンクを当てた。

被リンクとは外部のページやサイトに自社サイトのページを貼ってもらうことである。被リンク獲得先はパーソナルジムのまとめサイトやPR Times。

このようにランディングページの被リンク先を獲得することによって、ページの評価が向上しSEO効果を発揮する。


また、ジム開業にあたって広告を出すエリアの選定の基準の一つは、Google検索で1位を取れるエリアかどうかであった。

つまり、地域を選定したニッチな市場で戦うのだ。

検索結果で1位を取れない場合、当然ライバルが多い。

そこで藤崎氏はライバルが少ないエリアに勝てるコンセプトで参入した。さらに、広告プラットフォームとしてGoogleを選んだことも戦略の一つである。

例えばインスタグラムに広告を出す場合は、コンセプトが尖っていないと競合に負けてしまう。
その上、インスタグラマーとのコラボレーションも必須だ。そのため、Google検索をプラットフォーム
として選定しSEOを向上させた。

開業2年目で4店舗を事業売却

パーソナルジムは会員数の上限がある。そのため、会員数が一定人数に達すると、既存会員のみで収益が成り立つ仕組みになる。さらに顧客単価の平均も明確であるため、1店舗が抱える会員数と平均の顧客単価が明確になると、毎月の売上予測が算出できる。

藤崎氏は強みとする広告戦略を活かして収益の完全自動化を4ヶ月で達成し、さらに運営する
4店舗の収益を全て仕組み化。

その結果、ジム開業2年目でパーソナルジム4店舗の売却を達成した。これまでにオウンドメディア事業のノウハウを実店舗経営に活かして事業売却まで到達した事例は数少ない。

これからの歩みーChat GPT✖️人間の価値

藤崎氏が見据える次なる挑戦は、Chat GPTと人間が織りなす新しい集客だ。

これまでの集客形態は人海戦術が基本であったという。しかし近年はChat GPT革命により、
Chat GPTと人間を組み合わせた新形態の集客が可能となったと藤崎氏は語る。


実際に藤崎氏が作成したプロンプト

「集客の元となるコンテンツ制作においては、Chat GPTでタイトル作成や文のアイデア出しなどを行い、外注費を削減することができます。しかし、人間が織りなす感情の価値のAI代替はまだまだ難しいです。例えばコンセプト作りや、顧客の感情リサーチ、販売の動線作りから顧客との信頼関係作りなど。このように人間の心理や感情が関わる部分は、人間だからこそクリエイティブな魅力を発揮できる部分です。だからこそ、今後はChat GPTが得意とする部分と人間が持つ強みを掛け合わせたマーケティングで、集客を大幅に効率化させ、収益化に繋げることが出来ると思います」

人間の複雑な感情に訴求するオリジナルストーリーやエピソードは、クリエイターの独自性が強く光る。Chat GPTの活用と掛け合わせた感情の価値提供の実現を通じて、藤崎氏は事業のさらなる高みを目指す。新たな頂点を目指す彼の進取の精神は、今後ますますの注目を集めることだろう。

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