
SPV(ターゲットファンド)とは?
近年、アメリカでは特別目的事業体(SPV: Special Purpose Vehicle)を活用した投資ファンド、いわゆるターゲットファンドが注目を集めています。一方、日本ではまだ前例が少なく、多くの投資家にとっては新しい投資手法であり日本のエコシステム活性化には必要不可欠と言えます。その理由はターゲットファンドなしでは、米国のユニコーン企業の非連続的な発生は起こり得ないからです。本稿では、SPVファンドのメリット・デメリットや設立プロセス、さらにシリコンバレーでの成功事例を解説します。
SPVファンドは、特定の資産やプロジェクトを取得・管理し、投資家にリターンを提供する目的で設立される法人に投資するファンドです。プライベートエクイティ、ヘッジファンド、不動産投資など、様々な分野で活用されており、多くのシリコンバレーのユニコーン企業や上場企業がSPVファンドからの投資を受けています。
ターゲットファンドのメリットとは
リスク分散: 投資家が個別の資産やプロジェクトに投資する代わりに、多数の資産やプロジェクトに分散投資することができます。これにより、リスクを軽減し、安定したリターンを目指すことができます。
・専門性: SPVファンドは、専門知識や経験を持つファンドマネージャーによって運営されるため、投資家は資産選定やプロジェクト管理のプロセスを専門家に任せることができます。
・レバレッジ: SPVファンドは、資金調達のためにレバレッジを利用することができます。これにより、投資家は少ない資本で大きなリターンを狙うことができます。
・税制上のメリット: SPVファンドは、税制上のメリットを享受することができることがあります。例えば、所得税や資産税の節約が可能です。
しかし、SPVファンドにはデメリットも存在します。レバレッジを利用した場合、市場の変動によっては損失が拡大する可能性があります。また、
専門性が高いために情報が不透明であり、投資家が十分に理解しないまま投資を行うリスクがあります。さらに、各国の法規制や税制によって手続きが複雑になることがあります。
SPVファンドの設立プロセス・設立方法
・目的と戦略の設定
・ファンドマネージャーの選定
・法律・税務アドバイザーの選定
・SPVの設立
・投資家の募集
・投資先の選定と資金投下
・資産管理とリスク管理
・収益分配
・投資先の売却や解散
シリコンバレーでは、多くのユニコーン企業や上場企業がSPVファンドからの投資を受けています。例えば、UberやAirbnbなどの有名企業も、SPVファンドを通じた投資を活用して急成長を遂げました。これらの成功事例から、SPVファンドがイノベーションを促進し、新興企業の成長を支援する重要な役割を果たしていることがわかります。
日本でも、SPVファンドを活用した投資が徐々に広がりを見せています。例えば、日本のターゲットファンドが国内外の成長企業への投資を行い、日本のベンチャーエコシステムを活性化させる動きがあります。日本の投資家にとって、SPVファンドは新たな投資機会として注目に値します。
ターゲットファンドの成功事例
ターゲットファンドを利用して資金調達を行った日本と米国のスタートアップの例をいくつか紹介します。ただし、情報は2021年9月までのものであるため、最新の状況とは異なる場合があります。
■日本のスタートアップ:
Mercari(メルカリ) – C2Cのフリマアプリを展開している企業で、2016年にターゲットファンドを含む投資家から約7,500万ドルの資金調達を行いました。
Preferred Networks(PFN) – 人工知能(AI)やディープラーニングを活用したソフトウェア開発に取り組む企業で、2018年にターゲットファンドを含む投資家から約9,500万ドルの資金調達を行いました。
■米国のスタートアップ:
Uber – 世界的なライドシェアリングプラットフォームで、2011年にターゲットファンドを含む投資家から約3,700万ドルの資金調達を行いました。
Airbnb – グローバルな宿泊予約プラットフォームで、2011年にターゲットファンドを含む投資家から約1,1200万ドルの資金調達を行いました。
これらのスタートアップは、ターゲットファンドを含む投資家からの資金調達によって急速に成長し、業界を牽引する存在となりました。ターゲットファンドは、新興企業が資金調達を行い、イノベーションを推進する上で重要な役割を果たしています。今後日本のスタートアップエコシステム活性化のためにも、SPV:ターゲットファンドは必要不可欠な存在になることは間違いありません。